子供の鼠径ヘルニアの原因と治療

一歳までの子供で見つかることが多いのが、先天性の鼠径ヘルニアです。

鼠径ヘルニアとは、鼠径部にある腹膜が一部閉じきらないまま出生したために、泣いたりして腹圧がかかるとその部分から腸が腹膜の外側に出てしまい、膨らんで見えるというものです。
大人にもこうした症状が見られることがありますが、それは後天的なものであると思われます。

先天性のものは、母親がおむつがえのタイミングなどで異変に気づき受診するケースが多いでしょう。おもに女の子よりも男の子に見られやすいといわれています。鼠径部がふくれるように見えますが、見方によっては精巣がふくれているように見えることもあるようです。

通常、腸が出ていても痛みはなく、生命に問題が生じることはありません。赤ちゃんが泣いていると、膨れた部分が腫れていていたいのではないかと心配になるものですが、たいていはあやしていると泣き止みますし、鼠径部が原因で泣いていることはほぼありません。しかしまれに、出てきた腸がねじれるなどする「かんとん」と呼ばれる状態になることがあり、その場合は早急に受診をしないと腸が壊死し、腸閉塞となる可能性があります。火がついたように泣いて、何をしても泣き止まない状態になった場合には、小児救急に相談してみてください。診療の専門は小児外科です。可能であれば近所の小児外科がある病院を調べておくといざというとき安心です。

生後半年までは、成長とともに腹膜が閉じて自然に治るケースがありますが、一歳をすぎても症状がある場合には手術で治療をすることになります。手術には全身麻酔を使うため、子供へのからだの負担を考えて、医師によって何歳から手術を行うか考え方がわかれますが、かかりつけ医に相談をしてみましょう。

また、治ったと思っていても、高齢になったときにまた出てくることもあります。これは、腹筋の発達によって出てこなくなった腸が、筋肉の衰えでまた出てくるようになったものだと考えられています。そのため、もしも治ったように感じても、しばらくは出てくることがないかよく確認し、違和感があれば医師に相談しておくと安心でしょう。

手術を待っている間はとくに気を付けることはなく、通常通りの生活で大丈夫です。ヘルニア部分が出てきた場合でも、子供が落ち着けば自然にへこむことがほとんどで、何か対応しなくてはいけないことはありません。

子供が手術で治療をする場合、二泊三日程度の入院による手術となります。手術の前日に入院し、その日は絶食です。

手術は全身麻酔で行われます。子供の場合は注射ではなく気体の麻酔を吸い込む形です。手術自体は40~50分間で終わります。手術の傷は数センチと小さく、抜糸せずに縫合後溶ける糸が使われることがあります。それであれば、抜糸で通院する必要はありません。

翌日の手術のあとは流動食からスタートしますが、問題なければ翌日からは通常の食事をとることができます。

鼠径ヘルニアは、パッと見た目は驚きますが、よくある病気でありあまり心配があるものではありません。落ち着いて対処しましょう。